絵本を語る会

f:id:neko-no-michi:20220107232819j:plain先日、ずっと参加してみたかった、とある絵本屋さんの絵本を語ろう会に参加してきました。

絵本講師さんを中心に、5人ですきな絵本を順番に説明しておしゃべり。考えてみたら、勉強会などはあっても、ただ「おしゃべり」するのはあまり経験がなかったです。初めてお会いした方でも、絵本のチョイスにその人らしさが表れていて、どんな方なのかがなんとなくわかるようなのが面白いなとおもいました。

私が持って行ったのは

『あたし、うそついちゃった』

『ちいさいモモちゃん ルウのおうち』

『もうすぐおしょうがつ』

どれも大好きなのですが、上の2冊は考えるだけで心がぐらっとしてしまって、特に『あたし、うそついちゃった』は、自分のなかにいる子どものときの自分が刺激されるのか、読むたびに泣きそうになってしまいます。なんかこの絵本は私てきにエモいんですよ!エモいってこういうときに使えばいいのかー。

まとまりのない私の話にも、皆さん優しく耳を傾けてくださり本当に優しかった。好きなものについてだと永遠にしゃべれるなあと思った2時間。

ちなみに『ルウのおうち』は中谷千代子・絵の復刻版です。武田美穂さんのルウはかわいすぎて「ちがう私のルウじゃない!!」と激しく悲しんだ思い出...。

*

今年のはじめ、アドラーの『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を薦められて読み、それを発端に、あらゆるカードがひっくり返されるように、私のなかで革命がおこりました。考え方、視点の置き方ひとつで、世界はどのようにも変わりますね。特にこの2021年は、多かれ少なかれ誰にとってもそうだったと思いますが、私にとっても大きな気付きと学びの時間になりました。

 

相変わらず本も映画も好きだし、セカオワ岡村ちゃんも靖子ちゃんも好きです。(ことしヘビープレイリストに藤井風氏が加わりました。)

自分のなかで、変わったものと変わらないものがあるけど、悪い方向には行ってない、と感じています。いままで出会ってきたもの・触れてきたものが、答え合わせのような感じでひとつに繋がり、新しい顔を見せてくれるのが楽しかった。

そんなことも、少しずつ書いていけたらと思っています。

最近観たもの

最近は邦画をよく観ました。

とくによかったもの。

 

こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 [DVD]

こんな夜更けにバナナかよ

これは良い映画!

大泉洋さんと高畑充希ちゃんの演技がめちゃめちゃ良いんだけど、私は三浦春馬くんがすきです。ある意味振り切ってしまっている二人に比べると、控えめだし、複雑な内面のある難しい役どころだろうなあと思うけど、とても説得力があります。

原作のルポルタージュに書かれている、シカノさんのボランティアにかかわった若者たちの様々な悩みを、うまく一人で背負ってる感じです。映画だと主役の3人にスポットライトを当てている分、ちょっと厚みが足りないのかも。もしかしたらシカノさんの傍若無人ぶりにモヤっとしたり、ボランティアの人たちに、なぜそこまで...と思ってしまったりするかもしれないのですが、原作を読んでいるとより理解が深まります。

でも、とにかくシカノさんとミサキちゃんがキュートな、楽しく心温まる映画でした。

 

デトロイト・メタル・シティ スタンダード・エディション [DVD]

デトロイト・メタルシティ

甘くてオシャレなポップミュージシャンになりたいオトメンが、なぜかヘビメタル界のカリスマとして上り詰めることになる話。

なんじゃこりゃ。へんなの。でもかっわいい!

ヘビメタの世界は全然わかんない私は、昔まんまとカジヒデキが好きなほうでした。懐かしい甘い楽曲の数々♡

自分がやりたいジャンルではまったく認めてもらえないのに、好きじゃない世界で才能を認められ、必要とされている。そんな現実を受け入れて生きていく...って、考えてみると意外と深いテーマですね(^^;

 

勝手にふるえてろ - 作品 - Yahoo!映画

勝手にふるえてろ

松岡茉優ちゃん私はすきです。「万引き家族」のときもすごくいいなあと思った。

かわいい顔なんだけど、地味な(イタイ)感じにも見えるところとか、精神的にあまり安定してなさそうなところとか。で、この映画のヒロインが彼女にぴったり!

可愛いのとイタイのが両立していて、芸術の域だなあと思うなど。綿矢りさの小説のイタさも上手に体現してるとおもった。めっちゃ似合う。あのめんどくささは変わらないと思うけど、幸せになってほしい。

 

日日是好日 通常版 [DVD]

日日是好日

これといったドラマは動かないまま、クラシックっぽい静かな音楽とともに、移り行く季節とかわいい女の子を捉える。なんか佐々木昭一郎の世界と言われても納得できそうな。

私は好きです。樹木希林さんの最後の作品がこれなのも、なんだか流石。なかなか良い終わり方な気がして。

 

★番外編★

Wonder (DVD, English Language Not guaranteed)

ワンダー

絶対泣くとおもったけど最初から最後まで泣いてました。

原作が大好きなだけに、映像を見ながら先のこととかまであれこれ考えてしまって。あととにかく子役に弱いんだ~。

ここに書いた中では一番よかった映画かもしれないです。

 

最近聴いてるもの

最近はずっとVaundyと岡村ちゃんを聴いてます。

Vaundy... 下手したらギリギリ息子でもおかしくないくらいの若者で、そのことにもびっくりしちゃうんですけど、ものすごい才能の塊ですね...。

いろんな曲があってどれも面白いのですが、やっぱり「東京フラッシュ」がすきで何回も聴いてしまう。

 

 

どオシャレですね...。

「Just the two of us進行」というコードなんだそうです。コードの名前までオシャレで面白い。

 

あとは、周りに話せる人が全然いないのだけど、zocというアイドルグループがとてもごたごたしていて残念な気持ち。

大森靖子つながりでときどき覗くようになったのがzoc。アイドル好きな靖子ちゃんによってプロデュースされたグループで、アイドルにしてはずいぶんガラ悪いなあという印象だったし、遅かれ早かれなにごとか起こるであろう危なげな雰囲気が最初から漂ってたんですけども。

ふだんアイドルになじみのない私にとっては、靖子ちゃんの楽曲を、お人形みたいな女の子たちが入れ代わり立ち代わり歌うのは面白かったし、靖子ちゃんのプロデューサーとしての才能が感じられるのもよかった。

でも、やっぱり靖子ちゃんはひとりでやっていくほうが似合ってるんじゃないかなと感じます。コラボはめっちゃいいのがたくさんあるけど、グループを続けるとなるとなんか難しそうだなっていうかんじ。器用にグループを続けていけるような靖子ちゃんだったら、そもそも好きになってないような気もしますね。靖子ちゃんだから書ける良い曲を聴きたい。それだけ。

ピアノ・レッスン

 

 

アリス・マンローの本を初めて読みました。

素晴らしい小説を読むと、その本について語りたい半面、自分の語彙力ではどんな言葉でも言い表せない虚しさで、言葉を紡ぐ気力すらなくしてしまいますね...。

ノーベル賞まで獲ってて、すでに評価は定まっているけれど、この『ピアノ・レッスン』は最初期の短編集だそうです。

日常の描写のなかから、突然鮮やかに一瞬の光が現れて、その一瞬にはっとさせられたり、すべてがひっくり返るように感じたりする、そんな短編集でした。短編のスピード感があるのに、長編小説みたいな、なんともいえない、深い読後感。

ああ、おかしなものだ、頭のなかでは、何かに立ち向かうとき、声は響き渡り、人々はぎょっとして、うろたえる。でも現実の世界では、皆ちょっと独特の笑顔になり、自分が実際にやったのは、つぎのコーヒーパーティーに格好の話の種を提供してしまったということなのだ、とわかる。 ――「輝く家々」

あれがレオーナの御自慢の子供なんだからねえ、と隣人たちは家に帰りながら互いに言い合った。あの歌手のさ、と彼らは言った。今では雰囲気はいつもどおりに戻って、皆、以前とおなじくレオーナのことが嫌いだったからだ。 ――「死んだとき」

書かれているのは、ただそこにそのように「ある」人々の生きざまや考え方や人間関係。人間観察の確かさが過ぎて、言葉にならない人間関係のざらつきに、心臓がひえる感じがする。どの登場人物に対しても、語り手の感傷がほとんどなくて、まったく容赦がない。でもだからといって、貧しかったり醜かったり狡さを見せたりする彼らを、軽蔑したり突き放したりするわけでもない。すべては淡々としていて、とてもフェアだなあと思う。

いろんな女の子が登場する。

自分の一家(と母親)が近所から疎まれていることを感じていて、幼いながらも威厳を保とうとする「死んだとき」のパトリシア。

田舎に縛られ、すべてをあきらめ受け入れて、投げやりにしか生きることができないけれど、最後には、都会から来た男の子の薄っぺらさが浮き上がってくるような矜持を見せる「乗せてくれてありがとう」のロイス。

一方で、弟よりも父の仕事に役立っていると自負していたはずなのに、結局は少女として成長することを受け入れる「男の子と女の子」の女の子や、自立した先輩に感化された直後に、男の子に誘われるとあっさり誘いに乗ってしまう「赤いワンピース―一九四六年」の女の子もいる。

それに、「輝く家々」や「海岸への旅」、「ピアノ・レッスン」に出てくる老女も、きっと元「女の子」として描かれている。

アリス・マンローは、女の子と、すべての元女の子を描く作家なのだと思う。

最後の一編、表題作の「ピアノ・レッスン」は、零落したピアノ教師であるミス・マルサレスについての描き方が哀しくなるくらい冷酷なのだけれど、パーティで起こる奇跡によって、彼女の世界が一気に神聖なものとして昇華されるのがとても見事で、しばらくぼーっとしてしまいました。

娘が教えてもらっていたピアノの先生も、昔こんな感じの発表会をたびたびひらいていて(みんな嫌々来ているとかいう意味ではないです)、音楽はどんな人とでも分け隔てなく楽しむもの、という温かくて厚い信念を私はとても尊敬していたので、なんだかとてもよく知っている世界だと思った。

最後の一文が、本当に本当に素晴らしいです。

 

すっきり爽快とはいかず、読後なんとなくもやもやを引きずるマンローの短編...これから他の作品もたくさん読んでみたくなりました。

こんなときはおうちで映画

気になっていた映画をいくつか観ました。

休校騒ぎをきっかけに、ついについに、amazon primeに入ったので。

 

特によかったいっこめ「フロリダ・プロジェクト」

ポスター画像

ムーニーという、主役のちっちゃな女の子がとにかく可愛い。そして恐るべきふてぶてしさ。まったく演技してるように見えなくて、活き活きといたずらの限りをつくしてる。周りの大人たちは大変だぁ...。

ムーニーを育てるシンママのヘイリーは、ちょっと痛々しすぎて、もちょっと大人になったほうがいいですね...。悪態をついて喚いてるところばかりが思い出されます。でも、世間一般の母親っぽさとはかけ離れているのかもしれないけれど、ムーニーを大切にしていることだけはずっと伝わってきていたから、ふたりで過ごす、貧しくても楽しそうな時間が、あとから思い返すときらきらして見える。

だけどたとえば、偽物や盗んだものを、ディズニーランドの客に売りつける行為とか。大好きなママと一緒にしていたことの本当の意味を、ムーニーが大きくなって知ってしまったら、ムーニーはどうなってしまうんだろう。あの可愛いムーニーも、教育のないまま大きくなった末には、きっと貧困から逃れられず、ヘイリーのような生き方しかできなくなってしまうんだろうと思うと、ちょっとやりきれない。

この映画の監督は、是枝監督の「だれも知らない」を子役の演技の参考にしていたらしくて、それを知ってなんだかとても納得できました。前にも書いたけど、是枝監督のお弟子さんだった西川監督の「永い言い訳」も子役が凄くて、その姿を見るだけで涙が出てきちゃいそうだったのですが、ムーニーや子どもたちを見ていると、なんだかそれに近いものを感じたので。

 

にこめ

「アイ,トーニャ」は、私が子どもの頃にワイドショーでよく騒いでいた、フィギュアスケート選手による、ライバル選手への襲撃事件がテーマの映画。ハーディングとその周辺の人物が事件について語る、という構成なので、ここで語られていることが、本当かどうかはわからないんですが。

トーニャ・ハーディングって、アメリカで初めてトリプルアクセルを跳んだ人だったのは知らなかった。

ワイドショーのおかげで、ハーディング選手の印象はあまりよくなかったけど、これを見ると感情移入してしまってなんだか可哀想になってしまう。トーニャはきっと、母親があの母親でなかったら、もう少し別の生き方ができたであろう、ある意味純粋でハングリーな女の子。ほんと、鬼ママものすごいよ...。ヘイリーとは大違い(どっちも言葉遣いは極悪だけど)。なんだかんだ、やっぱりいいお母さんな面もあるのかな、というシーンがあるのですが、そんなことはなかった。やっぱり徹底的にクズだった...。ていうか、出てくる人がみんなクズすぎて、トーニャがまともに見えてきますね...。

 

それにしても、トーニャ役の女優さんが、スケートがすっごく上手でびっくり。

最初から最後までテンポがよくて、ずーっと勢いのあるまま最後まで突っ走る感じの映画でした。音楽もよかった。

エンドロールのときに、この映画の元になった、実在のドキュメンタリー番組と思われるものの映像がちょっと流れるのですが、本編に出てくる通りのシーンで、出てくる全員がめっちゃくちゃ似ててほんとすごいんです。面白かった!

 

「アイ,トーニャ」の最後に、「アメリカは愛する仲間たちと敵を作りたがる」というフレーズが出てきて。「フロリダ・プロジェクト」も世知辛いし。日本で生きていくことに、たびたび絶望的な気持ちになってしまう今日この頃ですが、アメリカで生きていくのも、なかなか大変そうだな...という気持ちになりました。

そいえば、この頃、ジョン・グリーンの『アラスカを追いかけて』も読んでいたので、アメリカンカルチャーにだいぶ免疫ができてきました!

 

僕らが手にしている富は見えないよ

ムスメのピアノのレッスンが終わり、家までの道を車で走っているとき、いままで何十回・何百回もレッスンに通ってきたのと、まったく何ひとつ変わっていないような錯覚に陥った。

でもすぐに、世界がいまとても深刻な状態にあることや、この国の人々の多くが、国民としてあまり幸せな状態に置かれていないという現実に引き戻される。

毎日毎日絶望感が更新されて、うんざりしている世界に。

 

ムスメとふたりっきりでいつもの車の中にいれば、ふざけながら交わす何気ない会話も、そこから見える風景も、いままでと何も変わってなくて、いままでと同じ平穏な日常の延長なのに。でもそういう日常が、本当はいまはとても遠いところにある感じ。

 

ムスメが適当に選んだウォークマンのプレイリストから「ありあまる富」が流れてきて、この曲もともととても好きなのですが、もうなんだかもう、諸々が現状にぴったりすぎて、泣きそうになってしまった。